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庶民の料理をお送りする劇団TOKYOハンバーグ

過去公演

TOKYOハンバーグProduce Vol,25 再演・新作2本立て公演
サンモールスタジオ提携公演

東京2012/宮城1973 〜のぞまれずさずかれずあるもの〜

作・演出/大西弘記
会場/サンモールスタジオ
期間/2019年4月11日〜21日

頬を突き刺すほどの雨だった
稲妻の龍が天と地を支配し、雄叫びをあげるたびに雷を落とす窓の外

個室のベンチシートに座り、妻の白く細い掌を握り締めたまま
ある出逢いの時を静かに待っていた

大きな落雷、共に院内に響き渡る小さな産声

呼吸と瞬き、廊下を走る足音、ドアが開く瞬間
すべてがスローモーションのようで

生まれたばかりの赤子を抱いた助産婦は云う

「産まれましたよ。可愛い女の子です。おめでとうございます。頑張りましたね」

まるで、その赤子を生んだ夫婦へかけるかのように・・・

1973年の晩秋、季節外れの嵐が荒れ狂う、丑三つ時
宮城県石巻市の某産婦人科にて欲しかった子どもに出逢えた。

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四十八年前になる。故菊田昇医師は、私を前に初めて赤ちゃんのあっせんを公表した。未婚の母による捨て子や子殺しをなくしたい一心で違法を知りつつ十年もの間百件も続けていたという。赤ちゃんの命を守るためと正当性を強く主張していたのを覚えている。翌日の新聞一面トップ記事として大きく報道され、全国で議論の的になった。公表後の菊田医師は賛否両論の中、法の改正を強く訴え続けていた。血縁重視の日本では難しかったが、十四年後の1988年に特別養子制度が施行され、いまは「赤ちゃんの命と幸せが守られ、未婚の母にも新しく生きる道を与え、子どもに恵まれない家族に赤ちゃんを与えることができる」という主張が実子特例法として生かされている。今回、TOKYOハンバーグが生前の菊田医師の葛藤を舞台化した。これを機会に、殺されようとしている赤ちゃんを助けたいという信念を貫き通した菊田医師の意義を改めて考えてみてはどうだろうか。

藤岡昌雄(元毎日新聞記者)

 

出演

■東京2012
坂井 宏充
橘 麦(e-factory)
葵乃 まみ
宮越 麻里杏
和田 真季乃
柴田 和宏
白井 風菜
山田 定世(劇団俳優座)
大川 泉
中澤 健太郎(アイリンク株式会社)

 

宮城1973

小林 大輔
永田 涼香
宇鉄 菊三(tsumazuki no ishi)
上田 尋
葛山 陽平(スターダス・21)
入間 史雄(オフィスウォーカー)
小林 翔
福寿 奈央(青☆組)
原 愛絵
當 このみ(GUSH OUT)
ししど ともこ(カムヰヤッセン)
堂下 勝気(青年座映画放送)

 

スタッフ

音楽/清見雄高
照明/吉嗣敬介
舞台監督/大河原敦・櫻岡史行
舞台美術/大河原敦
音響プラン/香田泉
音響操作/牛居朋広
演出助手/嶋野幸香・中尾雛子
宣伝美術/martrie
イラストレーション/さいとうりえ
舞台写真/ありせさくら
WEB制作/西谷竜太
制作協力/J-Stage Navi
当日受付/白井千晶
カンパニースタッフ/石原友武・相原奈保子・肥尾祥恵
企画・製作/TOKYOハンバーグ

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